血脈の火、星宿海への道、月光の東、
凝ったロマンティックなタイトル、これも魅力だと思っていたので、
これでは、読む気にならないよ、と敬遠していた、
宮本輝さんの 骸骨ビルの庭 です。
図書館で、予約でなく偶然発見。
1ページ目から惹きつけられてしまいました。
戦災孤児と彼らを育てた二人の男性、
ヒーローが彼らからそれぞれのお話を聞きます。
宮本さんは人を描くのがそれはうまい。
みんながまるでそこに居るようなんです。
普通に見ると奇妙なキャラクター、なのに自然なのは、もうミヤモト・マジックです。
ダッチワイフなんて身も蓋も無いモンも出てきます。
一気に読んだ後、はれほれネットで遊んでたら、
彼が創価学会会員だということがわかりました。
う~~ぬ。
う~~ぬ。
でも好き。
この本で一番印象に残った部分、
高校生になった孤児の一人が「人間はなんのために生まれてきたのか」と訊くと、
即答できる質問でもないのに、育ての親は、
「自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすために生まれてきたのだ」
と即答かつ断言するのです。
宗教的っちゃ宗教的ですよね。
生老病死、人はこの苦しみを乗り越えるために何かを必要とします。
宗教にはすごくたくさんのヒントがあります。
ただ、それを乗り越えるのは大変個人的な問題だと思うので、
団体でナントカというのはうさんくさく思えるんです。
まあよい、
輝さんの稀代のストーリーテラーとしての魅力を楽しもっうと。