アメリカ政府御用達だった高級ホテル ウォルドーフ・アストリアは、
建てたホテルです。
今とは違う場所にあった初代のホテルは、
ウィリアムが折り合いの悪かった伯母の邸宅を日陰にするために、
わざと高い建築物を建てたのだそうです。
くふふ、どろどろやなぁ。
そしてこの4代目がイギリスでうんとお金を積んで爵位を手に入れるのでございます。
息子のウォルドーフ・アスターはイギリスで政治家になり、
爵位も継承します。
その妻がナンシー・アスター、この人です。
その美貌と行動力で、社交界の花であり、
また、イギリスで最初の女性の国会議員にもなりました。
この肖像画を表紙に使っている、
「 おだまり、ローズ 」
1928年から 、このエキセントリックな雇い主と過ごした35年の日々の回想です。
当時の貴族の生活、そしてその暮らしを支える執事やメイドたち使用人の仕事(お給料なども)
とても興味深いです。
ローズさんはなかなか有能なメイドさんで、
レディ・アスターの身に着けるものの管理をすべてするのです。
それはおそろしく高価な宝石類から、下着にまで及びます。。
フランスから輸入するトリプルニノンという下着用のシルクから、
細かな装飾のレディ用の下着を縫う。
もちろんそれの洗濯とアイロンかけも。
パーティーの後で、高価な宝石のイヤリングが片一方なかったり、
これは必死で探してじゅうたんの下から出てくるのですが、
宝石類は持って移動すると外国では密輸入と見られると聞き、
税関を通るのに肝を冷やしたりします。
訳者の新井さんが、出来るだけ片仮名を使わないようにされたそうで、
習慣や生活様式などうんと違うはずなのに、わかり易い日本語になっていて、
とても読みやすく、おもしろかったです。
さて、当時の貴族は都会のお屋敷だけでなく、田舎にカントリーハウスを持っていて、
季節や行事に応じて、あちこち移動していたそうです。
アスター家も複数のカントリーハウスを所有していて、
中でも クリヴデンハウス は、上流の人々や政治家が訪れ、
歴史上の事件も起こったりして、
とても印象的なお屋敷。
今はどうなっているんだろうと、ネットで調べてみました。
ナショナルトラストの管理下でホテルになっています・・・・・・
庶民も泊まれる・・・・・・
ウォルドーフ・アストリア
有名な人が居住(!)していたという。
このアメリカを象徴するホテルは、
ヒルトンに買収され、
ヒルトンがどこやらのファンドに買収され、
そして今は、中国の保険会社が買収して、リニューアル工事中だとか。
盗聴器が仕掛けられたりしそうだと、
アメリカ政府はこのホテルの使用を全面的に止めるそうです、おお。
栄枯盛衰。
時は流れて行くんだな~